工芸品

短刀 銘来国俊

正和五年十一月日

鎌倉時代
熱田神宮 / 愛知県

概要

鎌倉時代後期の山城国(現在の京都府)を代表する名工、来国俊(らいくにとし)によって制作された短刀です。正和五年(1316年)の年紀銘があり、現在は愛知県の熱田神宮が所有し、東京国立博物館に保管されています。1955年に文化財保護法に基づく国宝に指定されました。

歴史的背景

来国俊は、鎌倉時代中期から後期にかけて京都で活躍した「来派」の中興の祖とされる刀工です。本作に刻まれた「正和五年」は国俊の晩年にあたり、彼の作風が完成の域に達した時期の作品です。当時の武士の間では、実用性と美術性を兼ね備えた来派の刀剣は極めて高く評価されていました。年紀が明確であることから、国俊の作風の変遷や当時の刀剣制作技術を知る上での重要な基準作となっています。

特徴と魅力

本作は来国俊の短刀の中でも白眉(はくび)とされる一振りであり、以下のような美術的・技術的特徴を備えています。

  • 洗練された姿: 鎌倉時代後期の短刀らしい、身幅がやや広く、がっしりとした風格のある美しい造り込みが特徴です。
  • 精良な地鉄(じがね): 小板目肌(こいためはだ)が細かく密につき、地沸(じにえ)が厚く付いた、来派特有の透明感のある地鉄を見せています。
  • 繊細な刃文(はもん): 直刃(すぐは)を基調としながらも、小乱れ(こみだれ)が混じり、足(あし)や葉(よう)といった細かな変化が繊細に現れた、気品あふれる仕上がりです。
  • 明確な年紀銘: 表に「来国俊」、裏に「正和五年十一月日」と刻まれており、国俊の円熟期の技量を示すとともに、歴史的資料としての価値をさらに高めています。

出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋

間違いを指摘する

短刀 銘来国俊

201/462