書跡・典籍

伝藤原行成筆書巻

平安時代
京都府
本能寺 / 京都府

概要

「伝藤原行成筆書巻(でんふじわらのゆきなりひつしょかん)」は、平安時代中期の能書家、藤原行成の筆と伝えられる書巻です。本巻は、唐の詩人・白居易の詩を写した「白氏文集」の一部や、越州刺史に宛てた書状の草稿、さらに飛白体(ひはくたい)による大字などが1巻にまとめられています。現在は京都の本能寺に所蔵されており、平安時代を代表する優れた筆跡として国宝に指定されています。

歴史的背景

平安時代中期は、それまでの中国風(唐風)の書道から、日本独自の審美意識に基づいた「和様(わよう)」の書道が確立された時期です。藤原行成は、小野道風、藤原佐理とともに「三跡(さんせき)」の一人に数えられ、和様書道の完成者と目されています。彼の書流は「世尊寺流(せそんじりゅう)」として長く受け継がれ、宮廷社会における書法の規範となりました。本巻は、そのような優美な貴族文化が花開いた時代において、先達である小野道風らの影響を受けつつ、行成独自の端正な書風へと向かう過程を今に伝える貴重な遺品です。

特徴と魅力

本作品は、平安貴族が愛好した書風の変遷と、行成に帰せられる格調高い筆致を今に伝えており、以下のような魅力を持っています。

  • 多彩な書体と技法: 緩急自在な草書体による「白氏文集」の詩句に加え、刷毛状の筆でかすれを作る特殊な技法「飛白体(ひはくたい)」が用いられている点が大きな特徴です。
  • 力強さと優雅さの調和: 後の定型化された和様(世尊寺流)に比べ、唐風の力強さと、日本独自の流麗な感性が融合した、躍動感あふれる筆致が見られます。
  • 書状草稿の生々しさ: 越州刺史宛の書状などは、定型的な清書とは異なる、筆者の息遣いが感じられるような自由な筆運びが魅力です。行成の性格を反映したような誠実さと、高い品格が感じられます。
  • 歴史的価値: 三跡の一人である行成の伝承筆跡として、また平安時代の精神文化(特に白氏文集の受容)を直接的に伝える第一級の史料であり、書道史における学術的価値が極めて高い作品です。

出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋

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伝藤原行成筆書巻

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