概要
筑前国宮地嶽神社境内出土骨蔵器(ちくぜんのくに みやじだけじんじゃけいだいしゅつど こつぞうき)は、福岡県福津市の宮地嶽神社境内から出土した、奈良時代の極めて優れた火葬用容器です。金銅製(銅に金メッキ)の円筒形容器を内櫃とし、それを緑釉を施した陶器の壺(外容器)に収めた二重構造を成しています。当時の高度な工芸技術と、仏教浸透に伴う葬制の変化を物語る考古学上の重要遺物です。
歴史的背景
本品は、明治31年(1898年)に宮地嶽神社の社頭における道路修築工事の際に発見されました。神社の背後には7世紀後半の巨石石室を持つ宮地嶽古墳が存在しますが、本骨蔵器はそれより後の8世紀(奈良時代)のものです。この時期の日本は、仏教の普及とともに従来の古墳への埋葬から火葬へと葬制が大きく転換していました。本品は、地方の有力層が中央(都)の最新文化であった火葬をいち早く受け入れ、最高級の工芸品を用いて葬られたことを示す歴史的な証拠となっています。
特徴と魅力
本骨蔵器は、その美術的な美しさと製作技術の高さから、考古資料として非常に高い価値を有しています。
- 豪華な二重構造: 内側の金銅製容器は丁寧な金メッキが施された円筒形で、外側の陶器は鮮やかな緑色の釉薬を纏った「緑釉壺」です。
- 優れた工芸技術: 内櫃の蓋は印籠蓋造(いんろうぶたづくり)という精巧な作りで、当時の優れた金属加工技術を示しています。
- 緑釉陶器の希少性: 外容器の緑釉陶器は、当時の日本で製造され始めたばかりの貴重な高級品であり、被葬者が中央政府と強い繋がりを持つ有力者であったことを象徴しています。
- 良好な保存状態: 発見時、内櫃の中には火葬された人骨が納められていました。出土品でありながら、金属の光沢や釉薬の質感が美しく保たれており、当時の色彩を現代に伝えています。
出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋