秋草文壺

基本情報

  • 台帳ID: 201
  • 管理対象ID: 384
  • 種別: 工芸品
  • : 日本
  • 時代: 平安時代
  • 指定年月日: 1953年03月31日
  • 都道府県: 東京都
  • 所在地: 東京国立博物館(東京都台東区上野公園13-9)
  • 所有者名: 学校法人慶應義塾

出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋

概要

秋草文壺は、平安時代末期(12世紀)に作られた、日本陶磁器史上屈指の名品として知られる大壺です。1942年、神奈川県川崎市の新川崎操車場建設現場において、火葬墓から蔵骨器として出土しました。素朴な陶器でありながら、洗練された叙情的な趣を湛えた、まさに国宝の名にふさわしい至宝です。

歴史的背景

本品は、現在の愛知県田原市付近に分布していた「渥美窯(あつみよう)」で焼成されたものと考えられています。平安時代の陶器は多くの場合、実用的な雑器として作られていましたが、この壺は当時の貴族文化で好まれた「和様」の美意識を色濃く反映しています。当時の東国における陶磁生産の到達点を示す資料として極めて高い価値を有しており、現在は学校法人慶應義塾の所有として東京国立博物館に寄託されています。

特徴と魅力

秋草文壺は、造形、意匠、技法のすべてにおいて当時の最高水準を示しており、以下の点が大きな魅力となっています。

  • 優美な秋草の意匠: 胴部にヘラを用いてススキやハギなどの秋の草花が、のびやかな筆致で刻まれています。この装飾が名称の由来となっており、日本人の感性を反映した洗練された美しさを放っています。
  • 力強い造形美: 肩が力強く張り出し、底部にかけて窄まっていく端正な形状が特徴です。
  • 自然釉のコントラスト: 焼成中に薪の灰が降りかかって自然に溶けた「自然釉(しぜんゆう)」が、肩口から淡い緑色の滴りとなって流れ落ちており、土の赤褐色と絶妙なコントラストを描いています。
  • 歴史的希少性: 平安時代の陶器でこれほど豊かな装飾が施された例は極めて珍しく、中世陶磁の先駆け的な存在として高く評価されています。