太刀 銘 正恒
基本情報
- 台帳ID: 201
- 管理対象ID: 439
- 種別: 工芸品
- 国: 日本
- 時代: 平安
- 指定年月日: 1954年03月20日
- 都道府県: 愛知県
- 所在地: 徳川美術館 愛知県名古屋市東区徳川町1017
- 所有者名: 公益財団法人徳川黎明会
出典: 国指定文化財等データベースより一部抜粋
概要
平安時代後期に備前国(現在の岡山県東部)で活躍した名工・正恒(まさつね)の手による太刀です。古備前派を代表する傑作の一つとして知られ、現在は徳川黎明会が所有し、名古屋市の徳川美術館に保管されています。洗練された優美な姿と、平安時代の刀剣特有の格調高い美しさを備えており、日本の刀剣史上極めて価値の高い文化財として国宝に指定されています。
歴史的背景
本作が制作された平安時代後期は、それまでの直刀から、騎馬戦に適した湾曲のある「太刀」へと移行し、日本刀独自の形式が完成された時期にあたります。備前国は良質な砂鉄と水、炭に恵まれ、古くから刀剣制作の最大拠点として栄えました。正恒は、古備前派の中でも包平(かねひら)と並び称される最高峰の銘手であり、その作品は当時から現代に至るまで、時の権力者や愛刀家によって大切に引き継がれてきました。
特徴と魅力
この太刀は、平安時代後期の刀剣に見られる特徴を完璧な形で留めており、以下のような美術的・技術的魅力があります。
- 優美なフォルム: 腰反りが深く、先へ行くほど細くなる「踏ん張り」のある姿が、この時代の太刀らしい気品を感じさせます。
- 緻密な地鉄: 地鉄(じがね)は小板目(こいため)が非常によく詰まり、地沸(じにえ)が細かくついており、潤いのある美しい肌合いを見せています。
- 繊細な刃文: 刃文は小乱れ(こみだれ)を主体とし、足や葉(よう)といった複雑な働きが随所に見られ、変化に富んだ表情を楽しめます。
- 名工の銘: 茎(くき)には「正恒」の二文字が鮮明に刻まれており、作者の確かな技量を今日に伝えています。
- 保存状態の良さ: 制作から800年以上が経過しているにもかかわらず、その輝きと健全さが保たれており、当時の高度な鍛錬技術を物語っています。